今日も彼女は彼岸線で

「うにぃ」
つまらない、と言いたげに少女が声を漏らす
待ち時間というのは遊び盛りの少女にとっては退屈以外の何物でもないからだ

彼女の今居る銀誓館学園、それは鎌倉市の中でも最も有名なマンモス校であり
裏では全世界最強と謳われる対ゴースト戦闘集団の本拠地でもある

そして今日来た少女は本日長野から転入した生徒であり
その出自から銀誓館の新たな能力者として参入した能力者でもある
そして長野から来た彼女の後見人に会うために教室に待っているのだが

「まだかなぁ」
アップリケの猫を弄りつつリュックを開ける
そして取り出した7個目のおやきに齧り付く、これで家から持ってきたのは残り3個

「んむ？」
足音が2つ聴こえる、と同時に扉が開く
1人は少女、徒坂・二三が昨晩あった銀誓館学園の職員

「……え？」
そしてもう１人は職員や実家の長姉よりかなり若い、何故か驚いている学生が訪れた

「ほほひとはホゴヒャほほか？」
「保護、者？いえ、ええとこの子が徒坂二三さんですね？」
「えぇそうです、この子ですよ。二三ちゃ～ん、この人が銀誓館であなたの保護者になる錘江田水歌さんですよ」
「うん、よろしくだぞあ、」
両手サイズのおやき完食、そして思い出したかのように突然立ち上がる二三

「えっと『水歌さんはじめまして、どうかよろしくおねがいします』だぞ」
きっと実家の家族に教えられたであろうたどたどしい、でもはっきりとした声で
ぺこりと頭を下げて一礼をした

これが徒坂二三と錘江田水歌の初めての遭遇

【続く】